*注)この記事の内容は、Chromium OS R45以降では有効ではありません。
日本でのChromobookの一般向け販売開始を機に、15台のPCで、Chromium OSがちゃんと動くか試してみたところ、まともに動いたのは5台という結果となったわけですが、そのうちの3台を事務所、自宅、移動用として、イジりまわしております。
Chromium OSは、オープンソース版であり、残念ながら、特定の企業/団体が権利を保有するmp3の音声/楽曲ファイル、mp4の動画ファイル、Flashの再生ができません。
当初、これらが使えない制約条件には目をつぶり、最低限の事だけできればいいと、割りきるつもりでした。でも、参照できないFlashを使ったサイトに出会うと、やはりイラッとくるもので。どうにかこうにか観れるようにしてみました。
ネット上にはこれらの問題を解決するシェルスクリプトなども公開されていたりしていますが、現在のビルドには使えなかったり、そもそもビルドの「お作法」が違うもののために使えなかったりします。
#公開されているスクリプトを、試しに実行してみると、違うビルド向けのものだったりすると、OS自体がクラッシュし、再インストルが必要となったりします。
mp3, mp4などのメディアファイルの再生、Flashを使えるようにするためには、システムに入り込んで、管理者権限でアレコレしなければならないのですが、ちょっとヘマをしますとChromium OSはすぐコケます(;_;)。
#壊しちゃったら、数分かけて再度インストールし直せばいいわけで、それができるのが、Chromebookのそもそもの利点の一つだったりするわけですが。
ここから先は、失敗したら(^_^;;Chromium OS自体の再セットアップを覚悟の上、お進みください。
#おヤクソクですが、当記述によりなんらかの問題が生じても一切責任は持てません。ごめんなさいです。
当記事の内容
まずは結果から
http://podbay.fm/でポッドキャストの番組の音声(mp3)が再生されるようになりました。
「ダウンロード」フォルダの配下に置いたmp3,mp4のメディアファイルがローカルアプリで再生できるように。
Youtubeは大丈夫なのに、再生できなかったDaily Motionなどのページで動画が再生可能に。たぶんニコニコ動画なども大丈夫なハズです。
日本郵便の年賀状コーナーでもFlashを使っているのですが、ちゃんと作成ができました。
さて、3〜4年ほど前だったでしょうか、Googleにパーソナルな情報を受け渡すのがシャクで、意固地になってオープンソース版のChromiumを使っていたのですが、今回と同様、プロプライエタリ(独自の企業/団体が権利を保有する)なmp3などのメディアファイル、Flashが使えず、アレコレいじった事がありました。
同じような手順を試してみたら、Chromium OSでもFlash、mp3, mp4などのメディアファイルの再生が行えるようになりましたので、その方法を以下に記しておきます。
#今回、試してみたのは、「Chromium OS Builds」:http://chromium.arnoldthebat.co.uk/ で毎日配布されているビルドの2014/11/11版、2014/11/27版、2014/12/06版の64bit版です。いちおう全てうまくいきましたが、今後、仕様の変更などがあった場合、うまく行かなくなる可能性もあります。
*注)下記の手順は、Chromium OS R45以降では有効ではありません。
必要な環境と下準備の手順
- Google Chromeがインストールされたdebian/Ubuntu系のLinuxが入っているPC
- /opt/google/chrome のディレクトリ配下にある3つのファイルをUSBメモリなどにコピー
- Flashプラグインの配置場所、バージョンなどを知らせる設定ファイルを1つ用意する。
以上の下準備を行った上で、Chromium OSのシステムに入り込んで、用意した4つのファイルを適正な位置に配置して完了です。
一つずつ、詳しく見て行きましょう。
1,debian/Ubuntu系のLinux環境
重要なのは32bitか64bitか。
Chromium OSが64bit版で稼働しているならばファイルを採取するLinuxも64bitでなければならず、Google Chromeも64bit版が必要です。
#Linux側が64bitで稼働しており、Chromium OSが32bit版で稼働している場合、Linux側でインストールするGoogle Chromeは32bit版を入れればOKかな?
#Windows, Macなどの場合、VirtualBoxなどの仮想環境で作業してみるのもアリかと。
2,3つのファイルを拝借/採取
Linuxパソコンで「/opt/google/chrome」をファイルブラウザで開きます。
この中からまずは「libffmpegsumo.so」をUSBメモリにコピー。
さらに「PepperFlash」フォルダを開いて、「libpepflashplayer.so」と「manifest.json」をUSBメモリにコピーしておきます。
#32bit版Linuxで稼働するPCから取ってきたファイルを64bit版Chromium OSに入れても動作しません(しつこいですが)。
Windows, Macからはこれらのファイルとは別形式のためChromium OSでは使用できません。
3,設定ファイルの用意
以下の「#」以外の部分(6行)をコピー、テキストエディタに貼り付けて「pepper-flash.info」という名称で保存し、こちらもUSBメモリーに他と一緒に保存しておきます。
##################################
FILE_NAME=/opt/google/chrome/pepper/libpepflashplayer.so
PLUGIN_NAME=”Shockwave Flash”
VERSION=”15.0.0.223″
VISIBLE_VERSION=”15.0 r0″
DESCRIPTION=”$PLUGIN_NAME $VISIBLE_VERSION”
MIME_TYPES=”application/x-shockwave-flash”
##################################
#Ubuntuでは、/opt/google/chrome/PepperFlash/ の配下にライブラリを格納しますが、Chromebookでは、/opt/google/chrome/pepper/ ディレクトリとなるようです。
拝借/採取した3つのファイル、新たに作成した設定ファイル、4つをUSBメモリにコピー/保存し、Chromium OS側でこれらを「ダウンロード」フォルダにコピーしておきます。
Chromium OSに入り込んで、いじくるための「Shell」
Chromium OSでは、ブラウザが起動している時に「Ctrl」+「Alt」+「T」を同時に押して、ターミナル端画面を表示させます。
#ここで「help」と入力してみると少ないながらも使えるコマンドが表示されます。
「shell」と入力して「Enter」を押すと、そこからはLinuxユーザーならばお馴染み「端末(ターミナル)」の世界。
Ubuntuなどでもお馴染みの「bash」。何でもできます。(^_^;;;
さらに「help」で使えるコマンドを見ると、いつもUbuntuで使っているものと大体同じ感じです。
4,Chromium OS側で、4つのファイルの配置作業
「shell」と入力して「Enter」
「sudo su」で「Enter」、パスワードを聞かれるので「password」と入力して「Enter」
#これで管理者権限を得ます。プロンプトが赤文字に変わります。
「mount -o remount, rw /」で「Enter」。
#全てのシステムファイルに読み書き、変更ができるようにします。Androidのアプリ開発などでもよく用いるコマンドですね。
「cd /home/chronos/user/Downloads」で「Enter」
#先ほどファイルをコピーしておいた「ダウンロード」フォルダに移動。
「ls」(エル・エス)で「Enter」
#4つのファイルがあるか、確認します。
以下を入力してそれぞれ「Enter」しながら、ファイルを配置し、使えるようにしていきます。
mkdir /opt/google/chrome/pepper/
#新たにディレクトリを作成
cp libpepflashplayer.so /opt/google/chrome/pepper/
chmod 755 /opt/google/chrome/pepper/libpepflashplayer.so
cp manifest.json /opt/google/chrome/pepper/
chmod 755 /opt/google/chrome/pepper/manifest.json
cp pepper-flash.info /opt/google/chrome/pepper/
cp libffmpegsumo.so /opt/google/chrome/
chmod 755 /opt/google/chrome/libffmpegsumo.so
#それぞれcpでコピー、chmod でパーミッションとして設定しています。
本来なら「644」あたりが妥当に思われるのですが、動作せず。他のライブラリのパーミッション設定に沿って「755」にしてみたらうまくいきました。
本来なら、もっと効率的なコマンド入力方法がありますが、1ステップずつ確実に(^_^;;
最後に「restart ui」、「Enter」で、いったん自動的にログアウトされます。
これまでの手順の画面は次の通りです。
再度、ログインします。
正しくプラグインが組み込まれているか確認
確認ブラウザのアドレス欄に「chrome://plugins/」と入力。
「Adobe Flash Player」という表示があることを確認します。
#mp3,mp4などのメディアファイルのコーデックが格納されたプラグインである「libffmpegsumo.so」に関する情報はここには表示されません。
以上でプロプライエタリなメディア形式ファイルやFlashの再生が可能となりました。まずはメデタシ。
これで、もしかしたらChromebookを新たに買わなくてもいいかも?(^_^;;
「PepperFlash」って?
旧来、Webブラウザのプラグインアーキテクチャとして採用されていた、“NPAPI(Netscape Plugin API)”に代わって、Google Chromeがいち早く“PPAPI(Pepper Plugin API)”を採用。
これにより、セキュリティの向上、グラッフィクス描画性能、安定性の向上などが図られているんですね。
今回Chromeから拝借してきた「libpepflashplayer.so」(Pepper Flash Player)は、GoogleとAdobeとの連携で、PPAPIに基いてChrome環境でFlashを再生できるように開発されているプラグインということになりましょうか。
上記については、権利保護されているライブラリを他から拝借してきて使ってしまう方法となりますので、あくまでも個人使用の範囲内ということで(^_-)v
(johokankyo.comからの転載)