日本でもボチボチとユーザーが増えているような気がするChromebook。
このOSはGoogle Chrome OSとなりますが、オープンソース・プロジェクトとして開発がされているChromium OSでは、ソースが公開されています。
このChromium OS、対応する機種は限られますが、Windows 10がツラいような古い機種でも、運良く動けば、快適動作する環境を手に入れることができます。
今回は、日本においてこのChromium OSをソースからビルドして公開してくださっている「Chromium OS カスタムビルド配布ページ」を紹介させていただきます。
当記事の内容
そもそもChromium OSを使うには
Chromium OSプロジェクトで公開しているのはソースコードであり、このままではパソコンで動かすことはできません。開発用のツールを用いてビルドしてパソコン起動用のイメージファイルを作成する必要があります。
手順は、プロジェクトのホームページに分かりやすくまとめられています。(英語)
http://www.chromium.org/chromium-os/developer-guide
私も何度かやってみましたが、ビルド〜イメージファイル作成に4時間ほどかかり、完成したUSBメモリーでは全く動作せず、丸2日かかってようやく動作させることができたこともあって、それ以来、毎日自動でビルドしたイメージファイルを公開している次のサイトで入手するようになりました。
http://chromium.arnoldthebat.co.uk/
しかし、このサイトの場合、実際に動作を確認してサイトにアップしているわけではないようで(?)、ビルドによっては正常に動作しないものもあったりして、いくつものビルドを落としてきて正常に動作するものを見極める必要があったりしました。
安定動作するカスタムビルドを入手できるように
この9月に公開された「Chromium OSカスタムビルド配布ページ」では、対象機種としてうまくハマれば、9月6日の公開以来どのビルドも安定して動作しています。
また、各バージョンごとに既知の問題についても書いてくださっているため、余計な労力をかけて不具合の特定をするような手間を省くことができて大変助かります。
◆Chromium OSカスタムビルド配布ページ
http://chromiumosde.gozaru.jp/
Flashのインストールも楽ちん
Chromium OSはオープンソースで開発されているものなので、特定の企業/団体が権利を保有している技術については同梱ができません。
Adobe社のFlashについては、今後についてはアレ(^_^;;ですが、YouTubeでも、Flashが入っていないと再生できないコンテンツがあったりしますし、Chrome/Chromiumで動作するアプリでもFlashを用いているものもあったりします。
従来、Chromium OSでFlashを用いる場合、導入のためのスクリプトが公開されていたりしましたが、バージョン違いで正常に動作しなかったり、手動で行う時もかなり面倒な手順が必要でした。これに対して、簡単に導入できるスクリプトが用意されています。
音楽ファイル形式のデファクトスタンダードとなっているmp3、そしてacc、動画のmp4についても、コーデックが必要となりますが、この追加手順も詳細に紹介されています。
Google Driveも使えるのが嬉しい!
http://chromiumosde.gozaru.jp/で公開されているカスタムビルドは、標準でGoogle Driveとの連携機能が使えるようになっています。
他のビルドでは、ファイル・アプリでGoogle Driveを読み込む(アクセス権を持たせる)ためには、かなり面倒なAPIキーの設定が必要でしたが、この問題をも最初からクリアしています。
これにより、ファイル・アプリでクラウド上にあるGoogle Driveにアクセスすることができるようになっています。
手持ちのPCで動作が確認できた機種
以前、http://chromium.arnoldthebat.co.uk/から入手したビルドで15機種でテストを行ってみたところ、正常に起動し、Wi-Fi、タッチパッドも動作するものは5機種のみでした。
一方で、「Chromium OS カスタムビルド配布ページ」でダウンロードさせていただいたビルドでは、次の9機種がUSBブートができ、Wi-Fi、タッチパッドも使えている状態です。
<R45-7262.57.2015_09_26_0006.での動作検証結果>
機種 | CPU | Chipset |
Lenovo IdeaPad S205 | AMD A50M FCH | Radeon HD 6310 |
Acer Aspire One 722 | AMD C-50 | AMD A50M FCH |
Asus 1225B | AMD C-60 | AMD A50M FCH |
NEC LaVie BL350/F | Atom N570 | Intel NM10 Express |
Acer Aspire V5 | Celeron 1007U | Intel HM70 Express |
Acer Aspire One 756-H | Celeron Dual-Core 877 | Intel HM70 Express |
Acer Aspire S3 | Core i3 | Intel UM67 Express |
Lenovo G560 | Core i3 | HM55 Express |
Acer Aspire 5750G | Core i7 | Intel HM65 |
USBブートが行えなかったのは、次の2機種のみでした。
- Dell Inspiron 12 (CPU: Atom 520, Chipset: Intel us15W)
- Lenovo G580 (CPU: Celeron B830, Chipset: Intel HM76 Express)
弊社の倉庫に眠っている古いPCを取り出してきて、試してみたくなりました。
ちなみに、MacBook Air 13 Late 2010、MacBook Air 11 Mid 2011でも試してみたのですが、USBブートが可能で、Wi-Fiも使えます。トラックパッドが利用できませんが、マウスを繋ぐ事で利用は可能でした。
お気に入りのPCが快適に使える喜び
出来の悪い子ほど可愛い、と言われますが、私にとってPCも同じ。それが「Asus 1225B」
今まで私の力ではChromium OSを動かすことができなかったのですが、上記の表にある通り、今では動かすことができています。
プリインストールされていたWindows 7では全く使い物にならず、Ubuntu 12.04、Windows 8/8.1, Windows 10にしてもダメで、Lubuntuでどうにかこうにか使えておりました。
この機種、スペック的にもとても非力なのですが、キーボードが打ちやすく、長文の原稿を書く時に、一番使いたいPCだったりします。
今回、晴れてChromium OSで動作することができて、まだまだ現役で頑張ってくれそうです。
これからChromium OSを試すならば、「Chromium OS カスタムビルド配布ページ」で公開されているビルドをお試しになることをオススメします。